皆さんはリスニング力に自信がありますか?リスニング力を向上させるためにはさまざまな勉強方法がありますが、その中でも「ディクテーション」は非常におすすめの勉強方法です。
この記事では、ディクテーションの効果、正しいディクテーションのやり方、ディクテーションをやるときに注意すべきこと、ディクテーションにおすすめのアプリと教材などをご紹介します。
ぜひご自身のリスニング力アップに役立ててください。
ディクテーションとは?

ディクテーションとは英語の音声を聞き取り、聞き取った英語を文字として書き取る勉強法です。
正しいやり方で継続して行えば、英語の4技能全てを伸ばすことができますが、特にリスニングの向上に効果的な学習方法です。
ディクテーションの種類

ディクテーションには2種類あり、下記の通りです。
- 穴埋め式ディクテーション
- 全文ディクテーション
それぞれのディクテーションについて解説します。
穴埋め式ディクテーション
穴埋めディクテーションとは、英文の一部分のみ聞き取り、空欄を埋めていくディクテーションのことを指します。
ディクテーションに不慣れな方や、英語初級者の方は穴埋めディクテーションの方がおすすめです。
全文ディクテーション
全文ディクテーションとは、英文を全て聞き取り、それを文字化させることを指します。
難易度が高く、時間がかかってしまいますが、学習効果は穴埋めディクテーションよりも高いです。
ディクテーションの効果4つ

ディクテーションをやることで下記の4つの効果が期待できます。
- リスニング力の向上
- 英文を推測する力が身につく
- 英文法の理解を深めることができる
- 自分の弱点に気づける
それぞれの効果について詳しく見ていきましょう。
リスニング力の向上
ディクテーションによって最も効果があるのがリスニングです。ディクテーションのトレーニングによって英文の細部まで聞き取る習慣が身につきます。
英文を推測する力が身に付く
ディクテーションでは英文の細かい点まで聞き取る必要がありますが、聞き取れなかった場合は、自分の語彙や文法の知識をフルに活用して聞き取れなかった部分にどのような語句が入るのかを推測する必要があるため、推測する力が身につくのです。
英文法の理解を深めることができる
ディクテーションをやっていると、「ここはaじゃなくtheなんだ!」「from ではなくofなんだ」と新しい発見をすることがあるでしょう。これらの発見は英文法の更なる理解につながります。
自分の弱点に気づける
ディクテーションで書き取りをして答え合わせをした後に、「どうしてその部分を聞き取れなかったのか?」と分析をします。このような分析を通して、自分の弱点に気づくことができるため、その後の英語学習に大きく役立つでしょう。
効果的なディクテーションのやり方

効果的なディクテーションのやり方は下記の順で行います。
Step1: まずは英文全体を聞いて大まかな内容を把握する
Step 2: 英文を1分ずつ聞いて、聞き取れた音を文字にする
Step 3: 答え合わせをして聞き取れなかった部分の復習をする
Step 4: 音読して単語や音のリズムをチェックする
Step 5: 数日後にもう1度おさらいする
それぞれのステップについて詳しく説明します。
Step1: まずは英文全体を聞いて大まかな内容を把握する
まずはいきなりディクテーションに入るのではなく、スクリプトを見ないで英文全体を聞き取り、大まかな内容を捉えます。
ディクテーションに入る前に、このようなリスニングのステップを入れることでリスニング力の向上に繋がるだけでなく、この後にやるディクテーションもやりやすくなるという効果があります。
Step2: 英文を1文ずつ聞いて、聞き取れた音を文字にする
いよいよディクテーションを始めます。
英語を1文ずつ聞き、音声を止めて聞き取れた英文を書き写してください。
そして1度で全ての英文を聞き取ることは非常に難しいので、何回か聞き直したり、聞きたい箇所に戻って集中的に聞きましょう。
聞き直すのは5回程度にとどめてください。5回聞き直しても書き取れない場合は、次の英文に移ってください。
そしてこのステップを最後の英文まで繰り返します。
Step 3: 答え合わせをして聞き取れなかった部分の復習をする
全ての英文を聞いたら、スクリプトを見ながら答え合わせをしましょう。そして間違えた箇所を見て、どうして間違えてしまったのか分析してください。
聞き取れない要因は下記のいずれかであることがほとんどです。
- 単語や熟語の知識がなかった
- 発音が聞き取れなかった
- 文法の知識が足りなかった
- スピードについていけなかった
それぞれの原因の対処法については次章で詳しく説明しています。
Step 4: 音読して単語や音のリズムをチェックする
スクリプトを見ながら英文を音読しましょう。自分が聞き取れなかった箇所には特に注意を払いながら音読することがポイントです。
音読という最終ステップを入れることで英語の発音練習にもなる上に、記憶への定着度を上げる効果もあるのでぜひ忘れずにやるようにしてください。
Step 5: 数日後にもう一度おさらいする
人間は1度学ぶだけでは忘れてしまって定着させることが難しいです。そのため、数日後に再び同じ教材でディクテーションをしてみましょう。
復習するほど定着度が高まり、英語力アップにもつながります。
ディクテーション教材選びのポイント

ディクテーション教材の選び方のポイントは4つあり、下記の通りです。
- 自分の興味のある題材や内容の英文であること
- 短い英文が多い簡単な教材を選ぶこと
- 再生スピードを変えられる教材であること
- スクリプトがある教材であること
それぞれのポイントについて解説します。
自分の興味のある題材や内容の英文であること
ディクテーションの効果を感じるまでの期間は取り組み状況によって異なるため個人差がありますが、少し時間がかかることが一般的です。
そのためディクテーションに挫折することなく、楽しく継続させるためには教材選びを工夫しましょう。自分が興味のある題材や内容の英文であることがおすすめです。
短い英文が多い簡単な教材を選ぶこと
ディクテーションであまりにも聞き取れなくて書き取りができないと、モチベーションが下がってしまい挫折してしまいがちです。ほとんど聞き取りができない教材を選んでしまうと学習効果も下がってしまいます。
そのため、ディクテーションに適した教材は英文を見て、全ての単語やフレーズの意味が分かるもの、かつ聞き取れなくても自分が持っている文法知識で推測して書き取りができそうなものであることがおすすめです。
再生スピードを変えられる教材であること
英文が聞き取れない要因の1つとして、英文のスピードが速くて聞き取れないというものがあります。この問題を解決するためには、再生スピードをいくつかの段階に変えられる(o.75倍, 0.5倍速など)ものであると、聞き取りの精度を高めることができます。
スピードが遅くて効果があるのかと不安に思う方がいるかもしれませんが問題ありません。ディクテーションに慣れて、徐々に英語力が上がっていくにつれて、英語の聞き取りレベルも向上するので、いずれは通常の再生スピードでも問題なく聞き取れるようになるでしょう。
スクリプトがある教材であること
ディクテーションをやるためには必ずスクリプトがある教材を選んでください。スクリプトがないと、答え合わせができないからです。
他にも、ディクテーションの仕上げとして音読の練習もするため、スクリプトがあることで練習がしやすくなるという理由があります。
ディクテーションで聞き取れなかった場合の対処法

ディクテーションで聞き取りができなかった場合、下記の4つが要因であることが多いです。
- 単語や熟語の知識がなかった
- 発音が聞き取れなかった
- 文法の知識が足りなかった
- 英文のスピードについていけなかった
それぞれの要因の対処法についてここでは説明します。
単語や熟語の知識がなかった場合
単語や熟語の知識がなかった場合は、当然書き取りができないはずです。そのような場合は、その単語や熟語をこれを機に覚えましょう。
全体的に単語や熟語の知識がないゆえに書き取りができなかった箇所が多かった場合、その教材はあなたに合っていない可能性が高いです。その場合は、ディクテーションの教材を変更することをおすすめします。目安としては英文中の単語やフレーズが80-90%程度理解できるものを選びましょう。
発音が聞き取れなかった場合
発音が聞き取れなかったものの、スクリプトを確認してみたら自分が知っている単語であったことはよくあります。
これはつまり、あなたがその単語の発音を間違えて覚えているという可能性が高いです。これを機にその単語の発音の矯正をしましょう。
そして、今後このようなことがないようにするために、新しい単語を覚える際には必ず発音とセットにして正しい発音方法を身につけるようにしてください。
文法の知識が足りなかった場合
文法の知識が足りない場合は、推測しながら聞き取ることも難しいでしょう。まずは英文法の基本を身につけましょう。英文法の学習には”Grammar in Use”がおすすめです。
英文のスピードについていけなかった場合
上記の3つの要因に当てはまらない場合は、「英文のスピードについていけなかった」ことが要因である可能性があります。
もし、再生スピードを変えられる教材である場合は、再生スピードを遅くして再チャレンジしてみましょう。遅くしてみても書き取りができない場合は、上記の3つの要因のいずれかである可能性が高いです。
ディクテーションを挫折しないためのポイント

ディクテーションを挫折しないためのポイントは下記の4点です。
- スペルミスやコンマの位置は気にしない
- 英文が長すぎるものを選ばない
- 1日30分までを目処に学習する
- 聞き直しは5回まで
それぞれのポイントについて1つずつ説明します。
スペルミスやコンマの位置は気にしない
英文を聞き取って書き取るときに機になる点がスペルミスとコンマの位置です。これらのミスに関しては気にしなくても大丈夫です。
理由は2つあります。1つ目は、あまりにも完璧に書き取ろうとすると疲れてしまい、学習の継続が難しくなるからです。2つ目は、ディクテーションの目的はスペリングを覚えることではなく、「音声の細部まで聞き取れるようになる」ことだからです。
英文が長すぎるものを選ばない
ディクテーションは聞き取った英文を全て書き取る必要があります。そして書き取れるまで何度も聞き取る必要があるため、どうしても進みが遅いです。
そのため、張り切って長文を選んでしまうと、モチベーションが下がり、挫折してしまうでしょう。
そのため、英文が1分程度の短いものでも構わないです。「自分はやり切った」という小さな成功体験を少しずつ積み重ねていくことで、大きな自信になり、やがて習慣化させることにつながります。
英文の長さではなく、学習の質の方が重要であることを頭に入れておいてください。目安としては英文の音声の長さが3分以内の教材を選びましょう。
1日30分までを目処に学習する
ディクテーションは非常に集中力が必要な学習方法です。
長時間やると正答率が下がり、やる気がなくなってしまいます。長い英文のディクテーションを1度にやるよりも、短い英文で1日10分の取り組みであっても毎日継続的に行う方が学習効果は高いです。どれだけ長くても1日30分以内で切り上げましょう。
聞き直しは5回まで
繰り返し聞く姿勢は大切ですが、聞き取れない要因を分析して、その弱点を克服することの方がもっと大切です。繰り返して聞き直すのは5回までにとどめ、それでも聞き取れなかった場合は、次の英文の聞き取りに移りましょう。
ディクテーションの効果を最大限に引き出すためのポイント3つ

ディクテーションの効果を最大限に引き出すためのポイントは3つあり、下記の通りです。
- 聞き取れなくても英文法の知識や単語の意味から推測する
- 慣れてきたら、聞き取る英文を長くしてみる
- 基本的な文法・語彙・発音をマスターしておく
それぞれのポイントについて解説します。
聞き取れなくても英文法の知識や単語の意味から推測する
母国語である日本語の文章であっても100%完全に聞き取って、それを正確に書き取るのは難しい作業です。外国語である英語であればなおさらです。
そのため、聞き取れない箇所も、自分が持っている文法の知識や単語の意味からどのような語が入るか推測して書き取ることで正答率が上がるでしょう。
リスニングの勉強にはなりませんが、英文法の知識をアウトプットするチャンスになるため、英語力アップにつながるので安心してください。
慣れてきたら、聞き取る英文を長くしてみる
音声を聞き取るときは1文ずつ区切ることがおすすめです。あまりにも短く切ってしまうと、英文の構成がイメージできないので学習効果が低くなってしまうからです。
ある程度の長さの英文やフレーズを聞き取ることで英文の流れや構成について理解しながら聞き取ることができます。
そしてディクテーションに慣れてきたら、聞き取る音声の間隔を長くしていきましょう。トレーニングに負荷がかかるので英語力アップにより効果的です。
基本的な文法・語彙・発音をマスターしておく
ディクテーションで書き取れない要因として、文法や語彙の知識の欠如、そして発音の誤認識であることが非常に多いです。
これらの知識を身につけておくことで、よりスムーズにストレスなくディクテーションをすることができるでしょう。
ディクテーションにおすすめのアプリ5つ

ディクテーションの勉強におすすめのアプリは下記の5つです。
- English Central
- Learn English Podcast
- ディクトレ
- スタディサプリ
- TEDICT
それぞれのアプリについて詳しくご紹介します。
English Central
English Centralはディクテーション専用のアプリではありませんが、ディクテーションの学習にも応用することが可能な英語学習アプリです。
アプリ内には30秒から1分30秒ほどのネイティブスピーカーが話す動画が10,000本以上あるため、あなたが興味がある動画が必ず見つけられるといっても過言ではないでしょう。それぞれの動画が10段階のレベルに分かれている点も秀逸です。英語の字幕や日本語訳も表示させられるのでディクテーションにぴったりの学習教材であると言えます。
月額費を支払うとオンライン英会話も使用できるようですが、ディクテーションのために使用するだけだったら、無料で使用できます!
Learn English Podcast
Learn English Podcastsはブリティッシュカウンシルが提供しているポッドキャストを視聴できるアプリです。
ディクテーション専用のアプリではないのですが、英語の音声を一文ずつ流すことができるのでディクテーションにぴったりのアプリです。もちろんスクリプト付き!再生スピードを変えることもできます。
話題はディナーパーティーの話や、住みたい街の話などカジュアルでとっつきやすい日常会話が中心です。新しいコンテンツが定期的に追加されるため飽きることもないでしょう。
各エピソードに内容の理解度をチェックする問題もついているためディクテーションだけでなくリスニングの勉強として活用することもできます。
ディクトレ
ディクトレはディクテーション専用のアプリで、無料で使用することができます。アプリ内には600問もあり、題材も日常英会話からTOEICのリスニング問題などバリエーションも豊富です。スクリプトだけでなく、単語訳や解説もついているため勉強に役立ちます。
スマホさえあればいつでもどこでもディクテーションができるため手軽で便利なアプリです。Appストアでも星4.6(782件)と高評価なので、まずはこのアプリからダウンロードすることをおすすめします。
スタディサプリ
スタディサプリはディクテーション専用のアプリではありませんが、ディクテーションの学習にも活用することができる便利なアプリです。
アプリ内にはTOEICのリスニング問題パート1-4があり、ここでディクテーションのトレーニングをすることができます。
流れる音声が1文ずつ区切られているためディクテーションの学習にピッタリです。そしてスマホとパソコンのどちらからでもアクセスできるのですが、いずれにしてもキーボード入力やタイピングでの入力になるので、スマホとパソコンがあればどこででもディクテーションに取り組めます。
そして再生速度も、速い(1.2倍速)・遅い(0.8倍速)・普通の3種類あります。
TEDICT
TEDICTはTED + Dictationで、TED Talkのディクテーションに特化したアプリです。難易度が高いので英語上級者のディクテーションに向いているアプリです。
英語字幕付きのTED Talkの動画を数多く見ることができる上に、毎日新しいコンテンツが加えられるので終わりがありません!またRepeat Playerという機能を活用してシャドーイングに応用することもできたり、画面上にわからない単語が出てきたらタップすると単語の意味を調べてブックマークして自作の単語帳を作ることができるため非常に便利です。
有料のアプリではありますが、買い切り型のアプリです。豊富で便利な機能を考慮すると非常にコスパが良いアプリであると言っても過言ではないでしょう。私自身も使用したことがありますが、非常におすすめです。
ディクテーションにおすすめの教材3つ

聞いて書きとる英語リスニング300問
この教材は英語初級者にぴったりのディクテーション教材です。付属のCDを聴きながらディクテーションの学習をします。
日本人が苦手とする聞き取りポイントを中心に学習できるので、1冊やりあげる頃にはかなり英語力がアップしていることが実感できるでしょう。テキストの後半にいくにつれて難易度が上がっていき、負荷が増していきます。
この本が終了したら、シリーズ本であるアドバンス編に進むのも良いでしょう。
ゼロからスタートディクテーション
『ゼロからスタートディクテーション』は英語初級者から中級者向けのディクテーション教材で、日常会話、アナウンスやニュースなどさまざまなテーマの英文を取り扱っています。しかし、最初は母音や子音、音声変化を聞き取る穴埋め式のディクテーションになっており、少しずつ難易度が上がっていく内容になっています。
各レッスンは11日10分程度で完了するため継続しやすいでしょう。
このテキストでディクテーションのトレーニングができるだけでなく、英語の発音についても学習できるので一石二鳥です。
日本人は英語のここが聞き取れない
この教材はまとまった量の英文を聞くことになるので、英語中級者におすすめのディクテーション教材です。
元々ヒアリングマラソンで人気だったコーナーをまとめており、3週間毎日2時間取り組むことで劇的な英語力向上を保証しています。
このテキストが終了したら「続 日本人は英語のここが聞き取れない」に進むことがおすすめです。
ディクテーションに関するFAQ

最後にディクテーションに関するよくある質問とその回答をご紹介します。
ディクテーションは1日どれくらい取り組めばいいの?
ディクテーションは非常に集中力が必要な学習であるため、1日10分で十分です。長くやるほど集中力が落ち、正答率も下がっていくのでどれだけ長くても30分以内に終わらせるようにしましょう。
シャドーイングとディクテーションのどちらがいいの?
シャドーイングとディクテーションでは目的が異なります。シャドーイングの主な目的は「発音矯正」です。それに対してディクテーションは「リスニング力の向上」が主な目的です。
そのためどちらが良いということはありません。目的によって使い分けることが大切です。
ディクテーションってどれくらいで効果が出るの?
ディクテーションの効果を感じるまでには少し時間がかかるでしょう。個人差があるため一概には言えませんが、2〜3ヶ月ほどかかると考えてください。
そのため、挫折せずに学習を継続させるためには、易しい教材を選ぶこと、あまり長くない英文を選ぶこと、そして自分が興味のある内容の英文を選ぶことがポイントです。
まとめ:ディクテーションの正しいやり方をマスターして効果を最大限まで引き上げよう

いかがでしたか?ディクテーションは非常に地味で忍耐が必要な勉強法ではありますが、正しいやり方で継続して行うと、英語の力を底上げしてくれる素晴らしい勉強法です。
本だけでなくスマホのアプリを使って気軽にかつ手軽に始められる勉強なのですぜひトライしてみてください!
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