みなさん、こんにちは。
みなさんは社会人留学に興味はありませんか?
私は2019年から2021年まで、オーストラリアのメルボルンにあるモナッシュ大学の大学院に留学していました。幸運なことに、新型コロナウィルスが世界中を震撼させる前の年だったので、無事にオーストラリアに渡り、卒業まですることができました。
私は、オーストラリアに渡る前に公立高校で英語の教員を8年間やっていたので、いわゆる社会人留学です。
この記事では、私の留学体験を赤裸々にご紹介したいと思います。
読み終わる頃には、みなさんの社会人留学、大学院留学へのイメージがより具体的なものになるでしょう。

モナッシュ大学とは?

まずは、私が留学したモナッシュ大学について簡単にご紹介します。
設立年とキャンパスの所在地
モナッシュ大学は1958年にオーストラリアのメルボルンに設立された公立大学です。オーストラリアの100ドル札紙幣に印刷されているモナッシュ将軍に因んで名付けられました。


ビクトリア州に4つ(Clayton, Caulfield, Parkville, Peninsula)、そしてマレーシア、インドネシア、インド、中国、そして南アフリカにキャンパスが1つずつあります。オーストラリア国内でも最大規模の大学です。
私は、ビクトリア州内にあったClaytonキャンパスとCaulfieldキャンパスに通っていました。
Claytonキャンパスはモナッシュ大学のメインキャンパスで、メルボルンCBDから電車で約40分ほどの距離にあり、敷地面積は1.1km2もあります。キャンパスセンターには購買、本屋、郵便局、レストランだけでなく、薬局、眼鏡屋、病院、旅行業者、美容院、スーパーなど様々なお店が入っており、大学の中だけで生活することが可能なのではないかと思えるほどでした。

それに対してCaulfieldキャンパスはこじんまりとしたキャンパスなのですが、メルボルンCBDに近いので利便性はバッチリです。

総学生数と留学生数
2020年の総学生数(学士・修士・博士)は85,924名です。
男女の割合はそれぞれ44%と56%で、女子生徒の方が人数が多いです。
そして学士・修士・博士課程に登録している人数はそれぞれ55,117名、25,143名、そして5,185名となっています。
そして留学生の数は29,912名となっており、全学生の30%近くを留学生が占めています。そのため、留学生に対するサポートが非常に充実していることが特徴の1つです。
留学生は様々な国から来ていますが、留学生の70%が中国とインドから来ています。他には、モンゴル、ベトナム、韓国、フィリピン、サモア等世界100カ国以上から留学生が来ていますが、日本人留学生は少ないです。
学部の紹介
モナッシュ大学は総合大学であるため、多種多様な学部やコースが存在します。下記の表はモナッシュ大学にある学部と登録人数をまとめた表です。
学部 | 生徒数 |
---|---|
アート・デザイン・建築 | 2,879 |
人文 | 7,873 |
ビジネス・経済 | 21,611 |
教育 | 6,802 |
エンジニアリング | 9,192 |
IT | 7,481 |
法律 | 3,991 |
薬学・健康科学・看護 | 19,218 |
科学 | 6,824 |
その他 | 53 |
日本の大学と同様に、学部によってキャンパスが異なります。しかし、メインキャンパスであるClaytonキャンパスに通うことになる可能性が高いです。
そしてモナッシュ大学は理系の学部の生徒数が多い点が特徴的です。それは、モナッシュ大学の理系の学部は世界的にも高い評価を受けているからでしょう。特に薬学部はQS世界の大学ランキングでハーバード大学に次ぐ2位にランクインしています。
ランキングと偏差値
オーストラリアの大学には「偏差値」という概念はありません。そのため、Times Higher EducationまたはQSの世界大学ランキングを使ってそれぞれの大学のレベルを知る必要があります。
モナッシュ大学は2022年Times Higher Education の世界大学ランキングと2023年QS世界の大学ランキングのいずれも57位にランクインしています。
そのレベルをより具体的にイメージしてもらうために、日本の大学のランキングと比較した表を作成しましたのでご覧ください。下記のランキングは2023年QS世界の大学ランキングのデータを元にしたもので、カッコ内の数字は順位を表しています。
オーストラリアの大学のランキング | 日本の大学のランキング |
---|---|
オーストラリア国立大学(30) | 東京大学(23) |
メルボルン大学(33) | 京都大学(36) |
シドニー大学(41) | 東京工業大学(55) |
ニューサウスウェールズ大学(45) | 大阪大学(68) |
クイーンズランド大学(50) | 東北大学(79) |
モナッシュ大学(57) | 名古屋大学(112) |
西オーストラリア大学(90) | 九州大学(135) |
アデレード大学(109) | 北海道大学(141) |
モナッシュ大学はオーストラリア国内では6番目にランクインしています。オーストラリアのトップ8大学であるGroup of Eightの一員で、世界の大学でもトップ1%に君臨する大学の1つです。
そしてレベルは、日本の大学では東京工業大学と同じくらいであることが分かるでしょう。
入学条件
入学条件は学部や課程によって異なります。私の場合は下記が入学条件でした。(修士課程の観光学部の場合)
- 大学の学士課程を修了していること。観光に関連した学部でなくても可。
- 下記の各種英語能力試験のいずれかの条件を満たしていること
- Academic IELTS
- Overall Score 6.5以上
- Reading, Writing, Speaking, Listeningのスコアがそれぞれ6.0以上であること
- Paper-based TOEFL
- Overall Scoreが550以上であること
- Test of Written Testのスコアが4.5以上であること
- Internet-based TOEFL / TOEFL IBT Paper Edition / TOEFL IBT Special Home Edition
- Overall Scoreが79以上
- Readingが13,Listeningが12, Writingが21,そしてSpeakingが18以上のスコアであること
- Academic IELTS
※このほかにもCambridge English TestやPearson Test of Englishなどのテストも含まれていますが、上記の3つのタイプが主要でメジャーなテストであるため、こちらの情報は割愛させていただきます。詳細はこちらをご覧ください。
学費について
学費は下記のように様々な条件で大きく異なります。
- 履修する専攻やコース
- 在学期間
- 現地生なのか留学生なのか
私の場合は、修士課程の観光学部で年間37,800オーストラリアドルを支払いました。これは日本円に換算すると約321万円です。
学期ごとに一律の授業料を支払うのではなく、単位数ごとに授業料が変わる点が日本の大学と異なります。
つまり、日本の大学では、各学期でできるだけ多くの授業を選択し履修することで、授業料の元を取ることができますが、オーストラリアでは、履修する単位数が多いほど授業料がかさむということです。
モナッシュ大学のそれぞれの学部、課程の授業料の詳細についてはこちらより検索しましょう。
モナッシュ大学の魅力
モナッシュ大学の魅力は下記の3点です。
- 留学生数が多い
- 多種多様な専攻やコースを展開している
- 就職活動に非常に有利
- オーストラリア国内で最も日本語の研究が行われている大学
それぞれの魅力についてご紹介します。
留学生数が多い
留学生数が多いということは、世界中に友達を作ることができるということと、大学側の留学生へのサポートが充実しているということです。
上記にもありますが、モナッシュ大学の総学生数の30%が留学生で、世界各国から来ているため、オーストラリアにいながら世界中の文化や慣習を学ぶことができました。
そして、大学では留学生向けに無料の英語学習プログラムや、レポート添削サービスなどを提供しており、留学生向けのサポートが非常に充実していました。このようなサポートのおかげで大学院生活をスムーズにスタートさせることができたと思っています。
多種多様な専攻やコースを展開している
モナッシュ大学はマンモス大学であるため、学士課程では127、修士・博士課程では214もの専攻や研究分野を展開しています。そのため、あなたが興味があるコースや研究分野が必ずと言っていいほどあるでしょう。
就職活動に非常に有利
上記にもありますが、モナッシュ大学はGroup of Eightと呼ばれるオーストラリアのトップ8大学の1つです。Group of Eightに所属する大学の出身者は、就職活動の際に少し有利になるとキャリアセンターの職員が話をしていました。
そして、モナッシュ大学の卒業生の就職は国内だけでなく国外でも高く評価されており、2014年の「世界のトップ企業が求める大学ランキング」でモナッシュ大学は33位にランクインしており、モナッシュ大学卒業生は世界的にも高く評価されていることが分かるでしょう。
また、海外では就職する際に「人脈」が非常に大切です。モナッシュ大学はマンモス大学、かつ世界中から留学生が来ていることから、世界中に440,000人以上ものの卒業生のネットワークが形成されています。「モナッシュ大学出身」という共通点があることで人脈を築きやすく、就職活動がしやすくなるかもしれません。
オーストラリア国内で最も日本語の研究が行われている大学
モナッシュ大学には日本語研究学部がありオーストラリアで最も「日本」に関する研究が行われているそうです。そのため、日本語を学ぶための日本語サークルがあったり、日本の漫画が所狭しとたくさん陳列されているManga Libraryもあります。
「日本語」を通じた友達作りができるのではないか?と考えたこともモナッシュ大学を選んだ理由の1つです。

なぜ社会人留学を選んだのか

私が社会人留学をするようになった経緯は正直偶然です。
日本の大学で学部生だったときに交換留学を夢見ていたのですが、家庭の経済状況が理由で諦めていました。そして、留学することなく高校の英語教員になったのですが、日々の英語教育の中で、「留学に行ったことがない私が教壇で生徒に英語を教えていいのだろうか?」という疑問は常に持っていました。
そして、ある年、赴任先の学校で、幸運なことに、オーストラリアのアデレードに生徒を短期留学で引率する機会が訪れました。この時初めてオーストラリアを訪れました。
人々が寛容であること、美しい自然に囲まれている国、そして治安が良くて暮らしやすい…私はすぐにオーストラリアの虜になったことを今でも覚えています。
そして、短期の留学であったとは言え、英語力だけでなく、人間としても精神的にも目覚ましく成長する生徒の様子を見て、羨ましいと思った自分がいたのです。
この時に、再び「留学したい」という気持ちを持つようになりました。
そして、正直にお話しすると、教員という仕事に嫌気がさしていたのも事実です。「英語を教える」ために教員になったのですが、私の日々の業務の中で英語を教えている割合は20〜30%程度だったと思います。それ以外に、部活動の指導、校務分掌での指導、担任・副担任としての業務・会計業務など挙げたらキリがないほど多くの業務に忙殺されており、このまま教員を続けていくべきか悩んでいた時期でもあります。
両親にこの話をすると、意外にも社会人留学としてオーストラリアの大学院に留学することを快諾してくれました。そして一番のサポーターになってくれたのです。
両親からの賛同が一番大きかったと思います。そのおかげで、公務員という安定を捨てて、新しい人生やキャリア形成に身を投じることができたからです。
長くなりましたが、これが私が社会人留学をしたきっかけです。
なぜオーストラリアの大学を選んだのか?

次に、私が英語圏の国々の中でオーストラリアを留学先に選んだ理由を7つご紹介します。これは言い換えると、オーストラリアの魅力的なポイントでもあります。みなさんが留学先を決める際の参考にもなると思いますのでぜひ読んでみてください。
オーストラリアが好きだったから
私は教員だった頃に、幸運なことに生徒をオーストラリアのアデレードに短期留学で引率した経験があります。この際に初めてオーストラリアに行ったのですが、人々は親切で寛容、かつ大自然に恵まれたオーストラリアのことを私はすぐに好きになりました。
3週間滞在できたことも大きいでしょう。「この国なら安心して暮らせる!」と思ったからということもあります。
「世界で最も住みやすい街」に興味があったから
エコノミスト誌が毎年発表している「世界で最も住みやすい街ランキング」でメルボルンは7年連続で1位にランクインしました。
留学に行く前は、日本が世界で最も暮らしやすいと思っていたのでなぜメルボルンが1位なのか非常に興味深かったという理由があります。
退職して時間をあまり空けることなく入学できるから
欧米の国のほとんどが入学時期が9月であるのに対して、オーストラリアの多くの大学の入学時期は2月と7月です。
日本の会社や学校の年度は3月に終わることから、オーストラリアを留学先に選ぶと、仕事を退職してから留学するまでの期間を短縮できるというメリットがあります。少しでも早く渡航したいと考えていたので、この点は私には魅力的でした。
在学期間が短いから
欧米の多くの国では大学院の在学期間が3年であるのに対して、オーストラリアは1〜2年と短い点も私には魅力的でした。
在学期間が短いことで、経済的負担を大幅に減らすことができるからです。英語圏の大学の学費は非常に高額で、年間300万円以上かかることからも在学期間は短いことも魅力的でした。
学生ビザでアルバイトができるから
オーストラリアでは学生ビザを所持していると一週間で最大20時間までアルバイトをすることができます。そして大学や大学院が長期休業に入ると、時間の制限なく働けるという点が魅力的でした。
上記にもありますが、留学にかかる費用は膨大です。少しでも留学コストを抑えるためにアルバイトができる国であるというのは私の中で重要なポイントでした。また、アルバイトを通じて、大学院とはまた異なった実践的な英語コミュニケーション能力を身につけることができるだろうという期待もありました。
残念ながら、実際は新型コロナウィルスによる長期のロックダウンの影響で、在学中は全くアルバイトをできませんでしたが、仮にコロナがなかったとしても私はアルバイトをできていたとは思えません。大学院生活での勉強があまりにもハードであったためです。
大学院卒業後に卒業生ビザを取得し、長期滞在ができるから
オーストラリアの大学や大学院を卒業すると、条件を満たせば卒業ビザを取得して、さらに2〜3年滞在することができます。
シドニー、メルボルン、ブリスベン以外にある大学を卒業するともっと長く滞在することが可能です。
このように卒業ビザを取得し、オーストラリアの現地企業での就業経験をすることでオーストラリアでの永住権取得につながるかもしれないと考えました。
英米と比べて物価が安いから
アメリカやイギリスと比べると、オーストラリアの物価は低いです。そして為替も良いです。円安の影響で、一時期はアメリカドルが1ドル150円台にまで突入した時ですら、オーストラリアドルは1ドル94円でした。
そして、上記にもありますが、大学院在学期間も短くて済みます。オーストラリアを留学先に選ぶことで、留学にかかる費用全体を抑えることができると考え、オーストラリアに惹かれました。
私の大学院生活について
私はオーストラリアの大学院に通っている間が人生で最も勉強した期間であると断言できます。
これまで私の人生は、「勉強する」ことが比較的多かったと思います。高校も大学も一般入試で受験しましたし、教員になる際にも教員採用試験を受験しました。しかし、大学院の勉強はそれら全ての勉強時間やかけた労力を足しても足元には及びません。
みなさんは、「海外の大学は日本の大学と異なり、入学は簡単だけど、卒業は難しい」と聞いたことはありますか?本当にその通りです。少しでも気を抜いてしまうと落第します。
授業の予習と復習は絶対です。私が受講した授業はどれも1回2〜3時間であるため、授業の密度が濃く、復習しないと忘れてしまいます。そして、予習、つまり授業で使用する教材や論文(1週間で50〜150ページほどの分量)を事前に読んでおかないと授業に全くついていけないでしょう。
モナッシュ大学では、学期や授業によりますが、授業が週に2〜3回ありました。そのため、各授業の前後で毎日予習と復習を3〜4時間使いました。グループワークの課題、小テストの勉強、そして学期末のレポートの準備(語数は1,500〜4,000語程度で日本語に換算すると6,000〜20,000字)なども並行して行う必要があるため、学期中は毎日5〜8時間ほど勉強していたと記憶しています。
大学院生活の途中から新型コロナの影響で、授業が全てオンラインになりました。友達に聞きたいことがあまり聞けなかったり、通信環境があまり良くなかったが故に、授業中で先生の話をきちんと聞き取れなかったり、非常にストレスフルな大学院生活でした。
何度も「日本に帰りたい」「辞めたい」と思いましたが、熱心な教授陣、友人、そして日本の家族のサポートによって何とか乗り越えることができました。

まとめ:私の留学体験談をあなたの留学に活かしてください

留学にはメリットだけでなくデメリットもあります。しかし、私の場合は、メリットが大きくデメリットを上回りました。世界中に出来たかけがえのない友人、日本では出来ないような体験、そして、モナッシュ大学という世界でトップ50に入る大学院を卒業することができたという自信…これらの経験はお金には変え難い価値があり、今後の私の人生の糧になると強く信じています。
公務員という安定を捨てて飛び込んだ世界ですが一度も後悔したことはありません。少しでも多くの方に留学を経験してもらって、私のように人生を変えてもらいたいと心の底から願っています。
ほんの少しの勇気と行動力であなたの人生を変えませんか?
留学生活を成功させるための秘訣を書いた記事があるので、興味がある方はこちらの記事も読んでみてください。
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