みなさんは社会人留学に憧れはありませんか?
しかし、Googleで「社会人 留学」と検索すると「失敗」「逃げ」「後悔」といったネガティブなキーワードが見受けられて、思わず躊躇してしまうのではないかと思います。
この記事では、私の社会人留学の経験をもとに、社会人留学で注意すべき点、後悔しないようにするためにできることなどをご紹介します。
私が社会人留学をした理由

私は中学の頃から英語だけは得意で、大学で交換留学に行くことを夢見ていました。しかし、大学入学後、経済的な理由でその夢を実現させることができませんでした。そして、大学を卒業し、公立高校の英語教員になったのです。
20代後半に転勤した学校で、オーストラリアのアデレードに生徒たちを短期留学(3週間)で引率することになりました。初めてのオーストラリアだったのですが、私は一瞬でオーストラリアの虜になったことを今でも覚えています。
豊かな自然、寛容で親切な人々…そして、3週間という短い期間ではあったものの、英語力だけでなく人間としても大きく成長する子どもたちを目の当たりにして羨ましいと思ったのです。
このオーストラリア引率が私の気持ちを変えました。留学に行きたいという熱意が再燃したのです。
公務員という安定を捨てることに迷いはあったのですが、「留学したい」という気持ちの強さの方が勝り、退職してモナッシュ大学院に留学することに決めました。
また、「教員」という仕事に疑問や嫌気を感じていたのも事実です。自分のキャリアを変えたいという気持ちがあったのも大きかったと言えます。
社会人留学で後悔する人の特徴

私は自分自身の留学が失敗したとは全く思っていません。そして一度も留学を後悔したことがないです。
しかし残念ながら、全ての社会人留学が成功するというわけではありません。
ここでは、社会人留学を後悔する人の特徴について解説します。
留学の目的が曖昧だった
社会人の留学は学生が留学するのとは異なり、目的が曖昧だと留学が失敗して、後悔することにつながります。
「なんとなく留学に行ってみたい」
「留学に行ったら、何か目的が見つかるかも」
そのような甘い考えではダメです。キャリアにブランクをあけてまで留学に行くのです。出発前に留学で学びたいことは何なのか、留学後のキャリアプランはどうするのかといったことをよく考えてから社会人留学を検討しましょう。
出発前の英語の勉強が不十分だった
留学に行ってからでも英語力を伸ばすことはできますが、社会人留学の目的は語学力アップだけでは不十分です。留学後のキャリアに活かせるスキルや経験を身につける必要があります。
また、出発前に英語力を高めておくことで、現地での生活や友達作りにも苦労しなくて済むでしょう。そのため、出発前から英語の学習が必要です。
現地での学習量が足りなかった
社会人留学は語学力+αを身につけないと、留学後のキャリアや転職にプラスに働きません。そのため、現地での学習量が足りないと後悔することにつながります。
このようなことがないようにするためには、出発前から、留学で何を学び身につけたいのかきちんと目的を明確化し、留学中に、その目標に向けて自分がどれほど学習できているのか定期的に見直すことがおすすめです。
現地で日本人とつるんでいた
留学すると、日本人留学生と出会うこともあるでしょう。日本人留学生と過ごす時間も時には必要ではありますが、ほどほどにすることをおすすめします。
それは、日本人と過ごすことで留学の意味が全くなくなってしまうからです。日本人と過ごすと、英語を使う必要がありません。そして海外の文化や慣習について学ぶチャンスが減ってしまいます。また、日本人と過ごし、日本語で会話しているあなた達をみて、その中に入っていきたいと思う人はいないでしょう。新しい友達を作るチャンスを失ってしまうことにもなるでしょう。
このような生活をしている人は、社会人留学を後悔してしまう可能性が高いです。
とにかくコストを抑えることばかりを重視した
私自身も留学した時に、いつ何があるかわからないからという理由で、友達と出かけたり外食を控えるようにしていました。
もちろん節約は大切なことではあります。そして留学は非常にお金がかかります。
しかし、今考えると、留学中の全ての体験が自分にはプラスになっているはずなのです。例えば、友人と外食に行くにしたって、その友人との仲を深めるだけでなく、コミュニケーションをとるので自分の英語力アップにもつながるでしょう。
経験はお金には変え難いものがあります。コストを抑えようとするばかりで、チャンスを逃さないように気をつけましょう。
帰国後のキャリアが出発前のキャリアより見劣りする
現在の仕事や給与に満足している人は社会人留学をすると後悔する可能性が高いでしょう。それは社会人留学後のキャリアは必ずしも、出発前のキャリアよりも成功するとは限らないからです。
私個人は社会人留学をして後悔は全くしていませんが、これは人によりけりです。社会人留学をしてからのゴールや目的をよく考えてから留学することをおすすめします。
学生留学では得られない社会人留学のメリット

学生留学では得られない社会人留学のメリットは下記の4つです。
- MBA留学ができる
- 海外就職や海外での転職を実現しやすい
- 自分のキャリアを見つめ直し今後のキャリアビジョンについて考えられる
- 学生よりも熱心に留学生活を送れる
それぞれのメリットについて解説します。
MBA留学ができる
MBA留学する場合、多くの大学や大学院が「数年間社会人経験をしていること」を条件にしていることが多いです。
つまり、MBA留学は社会人しかできず、さらに留学先でもクラスメイトは社会人経験者であるため、後ろめたさや気後れを感じることもないでしょう。
海外就職や海外での転職を実現しやすい
オーストラリアで実際に就職活動をし、現地企業で働いてみて、海外では「経験」や「スキル」が非常に重要視されていることがよくわかりました。これは新卒であっても同様です。
私は、現地企業でマーケティング職を応募しましたが、面接では「Wordpressはどれくらい使いこなせますか?」「SEOについて知見はありますか?」といったスキルや経験に関する質問ばかりです。
そのため、日本で実際に就職し、社会人経験がある方は海外就職や転職がしやすいでしょう。
自分のキャリアを見つめ直し今後のキャリアビジョンについて考えられる
大学生は大学院生は社会人経験がないため、キャリアプラン、仕事で求められる資質やスキルについて具体的にイメージすることができません。
しかし、実際に社会人経験をしたことがあるあなたは、社会人としての自分の強みや弱みはもちろん、社会で必要とされているスキルについても熟知しているため、きちんと目的意識を持って留学生活を送る、つまり有意義な留学にしやすくなるということです。
学生よりも熱心に留学生活を送れる
私だけかもしれませんが、社会人を経験していると勉強することを懐かしく思ったり、自由な時間がもっと欲しいと思うことはありませんか?
日々忙しく過ごしている社会人ならではだと思います。
そのような社会人が留学に行くと、学生以上に勉強や自由な時間に対してありがたみを感じて、より熱心に勉学に励むことができるのではないでしょうか?
少なくとも私自身はそうでした。学生時代に留学に行っていたら、ここまで必死に頑張らなかったのではないかと思います。
社会人留学のデメリット

社会人留学にはデメリットもあり、それらは下記の3つです。
- キャリアにブランクをあけてしまい、再就職が難しい
- 留学のタイプによってはキャリアで高評価を得られるとは限らない
- コストがかかり、貯金が減る
それぞれのデメリットについてご紹介します。
キャリアにブランクをあけてしまい、再就職が難しい
日本では再就職、特に正社員としての再就職は難しいでしょう。
しかし、近年日本は終身雇用制度や年功序列が崩壊し、海外のように転職やスキルや経験重視の採用体系になってきました。そのため、100%再就職できないと言うことではありません。
再就職を成功させるためのポイントは、社会人留学を通して、英語力だけでなく、スキルを身につけることが大切です。
留学のタイプによってはキャリアで高評価を得られるとは限らない
社会人留学と言っても留学のタイプによってはキャリアで高評価を得られるとは限りません。
例えば、語学留学やワーキングホリデーが評価されない留学の代表例です。これらのタイプの留学は履歴書に記載しても「ブランク」としてしか評価されないのが現状です。履歴書の中でこのような「ブランク」があると、帰国後の就職・転職活動で不利になってしまいます。
詳細は後述しますが、ご自分のキャリアにプラスになるタイプの留学を選びましょう。
コストがかかり、貯金が減る
留学の最大のデメリットが「コスト」です。私自身はオーストラリアに大学院留学に2年間行きましたが、2年間で、学費と生活費を合わせると1,000万円以上はかかりました。
留学のタイプや期間にもよりますが、留学は非常にお金がかかります。また、これだけの費用をかけても、必ずしもコストに見合った効果が出るとは限りません。
社会人留学は慎重に検討する必要があるでしょう。留学費用を抑えるためのコツを下記の記事にまとめていますので、興味がある方はこちらの記事も読んで参考にしてみてください。
他にも「国内留学」という選択肢もあります。国内留学はその名の通り、国内のホテルやシェアハウスで開催される日帰り〜1週間ほどの英語合宿プログラムです。海外留学と比較してもかなりコストを抑えることができるのでこのプログラムもおすすめです。

社会人留学を後悔しないためのポイント5つ

社会人留学を後悔したり、失敗させないためのポイントは下記の5つです。
- 留学の目的、留学後のキャリアのイメージを明確にしておく
- 出発前にある程度の英語を身につけておく
- 転職しやすいように英語以外に身につけたいスキルを考えておく
- お金に余裕を持つこと
- 英語力を検定試験のスコアで残す
それぞれのポイントについて解説します。
留学の目的、留学後のキャリアのイメージを明確にしておく
まずは留学の目的や留学後のキャリアをイメージを明確にしておきましょう。これは非常に重要なポイントです。
あなたの留学はキャリアアップのためですか?それとも転職をするためですか?
海外移住を目指すのですか?いずれ日本に帰国予定ですか?
なぜ転職したいのですか?どうして今の職場や仕事が嫌なのですか?
もし転職する場合、あなたが優先したいことは給料、ワークライフバランス、同僚、仕事内容のどれですか?
留学を通してあなたはどのようになりたいですか?
まずはこれらを自問自答してみることをおすすめします。具体的な留学プラン(どこの国に留学する・どのようなタイプの留学をする)を考え出す前に、このような自己分析をすることで、「自分の軸や目指すゴール」を定めることができます。
留学は目的ではありません。留学はあくまで目的を果たすための手段です。軸やゴールが見えてきてはじめて、どの国に、どのような留学を、どれくらいの期間行くのかといった留学計画が見えてくるのです。
この順番を間違えないように気をつけましょう。
出発前にある程度の英語を身につけておく
英語力を身につけるのは「留学中」だけではありません。留学前から自主的にしっかりと英語の勉強をして英語力を磨き続けましょう。
出発前に英語力を上げるメリットは下記の2つです。
- 友達が作りやすい
- 現地で高給な仕事に就くことが容易になる
まずは、友達が作りやすいということです。私自身の大学院留学の経験からお話すると、留学の成否は友達によって決まるといっても過言ではないと思います。そして良い友達を作るためには色々な人と円滑にコミュニケーションができることが望ましいです。コミュニケーションはもちろん英語です。
特に英語のリスニングとスピーキング力をブラッシュアップしましょう。私は留学に行く1年ほど前からほぼ毎日オンライン英会話のレッスンを受けていました。徐々に英語を話すことに対する抵抗感がなくなっていったのでおすすめです。
次に、現地で高給な仕事に就くことが容易になるという点についてです。英語でのコミュニケーション能力が高いほど高給な仕事に就くことができます。つまり、留学のコストを抑えることができるのです。
転職しやすいように英語以外に身につけたいスキルを考えておく
社会人留学では英語力を身につけたことは評価されないでしょう。そのため、社会人留学を成功させるためには「英語を使って何をしたいのか」「英語を使って何を学びたいのか」にフォーカスを置くことが大切です。
よってこれらの理由から、社会人留学を後悔しないようにするためにも出発前の英語学習を強くおすすめします。
お金に余裕を持つこと
留学中にお金は非常に大事です。新しいことにチャレンジしたり、出かけてみたくてもお金がなかったり、経済力に不安があると、「やっぱりいいや」となってしまい、さまざまなチャンスを失ってしまうからです。
そのために、留学前に節約してお金を貯めることはもちろん、留学中も工夫をして不要なことにはお金を使わないようにしたり、現地でお金を稼げるような状況を作り出すことをおすすめします。
英語力を検定試験のスコアで残す
社会人留学の場合は特に「留学に行った」ことに対して評価はされません。留学し、どれほど転職やキャリアアップに役立つスキルや英語力を身につけたかを具体的な形で示すことができるかどうかが大切です。
英語力を示す場合は、ビジネスではTOEICが最も一般的でしょう。しかし、TOEICはリーディング力とリスニング力のみを図るテストです。ライティング力やスピーキング力も測りたい場合は、英検、TOEFLやIELTSを受験することをおすすめします。
後悔しないために…社会人にオススメする留学タイプ

社会人オススメする留学タイプは下記の4つです。
- 専門学校への留学
- MBA留学
- 海外インターンシップ
- 大学院留学
これらのタイプの留学であれば、英語力+αを身につけることができ、後悔したり失敗する留学になる可能性はかなり低くなるはずです。
また、日本では、専門学校、大学、大学院は「学生」や「若者」が通うイメージをお持ちかもしれませんが、海外は異なります。日本以上に「生涯学習」が浸透しているので、キャリアアップや新しいキャリアを形成するために通う社会人も多くいるので、自分の年齢や立場について心配する必要は全くありません!
専門学校への留学
海外の専門学校に通って、ご自身の専門分野や新しく学びたいスキルについて学ぶのはいかがですか?専門学校であれば、大学や大学院と比べて就学期間が短く、学費を抑えることができます。手に職をつけることができるので現地での就職をしやすくなるでしょう。
MBA留学
もしあなたが起業することを考えていたり、大手企業や外資系の有名企業へのキャリアアップを考えているのであれば、MBA留学をオススメします。
MBA留学をするための条件が「数年間社会人として企業に勤めてきた経験があること」としている大学や大学院が多いです。そのため、MBA留学は社会人でしかできない留学と言えます。
海外インターンシップ
留学で学びたい分野が明確化されていない人にオススメなのが、インターンシップです。
海外ビジネスインターンシップは、基本的には日本で経験している業種や職種と同じ職種で海外で就業経験を積むものになります。インターンシップはプログラムにもよりますが、有給のものもあります。有給だと、留学にかかるコストを抑えることができるというメリットもあるでしょう。
海外ビジネスインターンシップを経験することで、英語環境の中であなたの業種や職種で仕事をするので、日本に帰国後に、外資系企業に転職したり、そのまま現地就職ということも可能でしょう。
大学院留学
社会人の方で、高い英語力をお持ちであるならば大学院留学もおすすめです。大学院と聞くと、「教員や理系の人が通う学校」というイメージをお持ちかもしれません。しかし、それは日本だけです。 海外の大学院では、600以上もののコースが提供されており、大学を卒業したばかりの学生だけでなく、社会人も仕事と両立させながらキャリアアップを目指して大学院に通っていることも多いです。生涯学習という考えが日本以上に定着している海外ならではですね。
きっとあなたのキャリアや興味関心に合ったコースや専攻を見つけることができるでしょう。
まとめ:社会人留学を後悔しないようにするためには事前準備が大切!

いかがでしたか?社会人留学を後悔しないようにするためには、留学後のビジョンを明確化させたり、英語+αを留学で身につけることが大切であることがわかっていただけましたか?
留学にはデメリットだけでなくメリットもたくさんあります。私の場合は、デメリットよりもメリットの方が上回っていました。
このブログを参考にして、社会人留学を検討する方が増えることを願います!
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