「IELTSとTOEFLってどっちの試験の方がハイスコアが出やすいの?」
「IELTSとTOEFLどっちの試験の方がおすすめなの?」
英語圏の国の大学院や大学院に留学する方はTOEFLまたはIELTSの受験をする必要があるでしょう。そんなあなたは上記のような疑問をお持ちではないですか?
この記事ではTOEFLとIELTSをさまざまな観点から比較しています。それぞれの試験に向いている人の特徴も紹介しているので、ご自身と照らし合わせながらどちらの試験が向いているのかを判断する際に活用してください。
TOEFLとIELTSの違い

TOEFLとIELTSはあらゆる点で大きく異なっています。ここでは、それぞれの違いについて様々な視点から解説します。
試験の目的
まずは、TOEFLとIELTSでは試験の目的が少し異なります。
TOEFLはアメリカの大学教育を前提にしたもので、IELTSはイギリスの大学教育を前提にしている試験です。アメリカとイギリスではそれぞれ大学の教育スタイルが異なります。よって試験内容も大きく異なるのです。
そのため、アメリカやカナダに留学する人はTOEFLを、イギリス、ニュージーランド、そしてオーストラリアに留学する人はIELTSを受験すると、大学入学後を見据えて学習できることになると言えます。
問題の形式
TOEFLの場合は全て選択式問題です。ライティングはパソコンでタイピングをし、スピーキングもコンピュータに向かって話しかけるタイプの試験です。
それに対してIELTSの場合は、記述式・選択問題・並べ替え・聞き取りなど問題のバリエーションが豊富な試験で、スピーキングは実際にネイティブの面接官と対峙して試験を行います。
受験の形式
TOEFLはコンピュータ形式ですが、IELTSの場合は、ペーパー形式とコンピュータ形式の2択です。IELTSの場合は、自分が得意な方を選ぶことができますが、コンピュータ形式の方が受験料が高いというデメリットがあります。
試験日数
TOEFLの試験はリーディング、ライティング、リスニング、そしてスピーキングを全て1日で終わらせます。
それに対して、IELTSの場合は、スピーキングを別日に実施するか、または筆記試験と同じ日の午後に受験するかを選択することができます。
別日に受験すると、精神的かつ身体的な疲労を軽減することができますが、再び会場に向かう必要があるため、コストと時間がかかる点がデメリットです。そして1日で全てを終わらせる場合は、スピーキングのテストを受験する順番によっては5〜6時間ほど待機する必要があり、手持ち無沙汰になることもあります。それぞれメリットとデメリットがあるので、ご自身が好きなタイプを選ぶと良いでしょう。
試験内容
つづいて、IELTSとTOEFLの試験問題についてセクションごとに解説します。
リーディング
リーディング問題についてはIELTSもTOEFLも短時間で大量の英文を読み進める必要があるという点では同じです。
ただ、英文の内容については、TOEFLの方がよりアカデミックな内容で、IELTSの方がより大衆向けな内容になっているので取り組みやすいと感じる人が多いようです。
ライティング
TOEFLのライティング問題は難易度が高いです。設問が2つあるのですが50分で450語以上の英文を書く必要があり、これはかなりハードです。また、2問あるうちの1問が、ライティングだけでなく、リーディングやリスニング力も問われる総合問題になっていることも難易度を上げています。
それに対して、IELTSの場合は、ライティングの問題が2問あり、60分で400語以上の英文を書くことになり、TOEFLよりは語数が少ないです。ただし、TOEFLと異なり、パソコンを使った入力ではなく手書きで記述するので、手間と時間がかかる点を考慮に入れておくと良いでしょう。
スピーキング
TOEFLのスピーキングテストは、コンピュータに向かって話しかけるタイプのテストです。録音された音声をもとに自動採点システムと6人の採点者によってスコアが算出されるため、非常に正確なスコアが出ると言えます。そして、スピーキングテストとは言いつつも、リーディングやリスニング力も問われる試験であるため、英語の総合力が求められるテストです。スピーキングテストの時間は20分です。
IELTSの場合は実際に試験官と対面してスピーキングテストを実施します。自然な会話のように、質問を聞き返したり、相手の話に頷くことも可能です。試験時間は11〜14分ほどで、TOEFLと比較すると短いです。上記もありますが、スピーキングが別日に設定されているケースと、同日に行うケースがあります。同日に行われる場合は、試験官の数が限定されているため、5〜6時間ほど待たされる可能性もあるという点が難点です。
リスニング
リスニング試験に関してはTOEFLとIELTSで大きな差はありません。少し異なる点は下記の2点です。
- TOEFLのリスニング音声はアメリカ英語、そしてIELTSのリスニング音声はイギリス英語であること
- TOEFLのリスニング問題はまとまった量の英文を聞き、大まかな内容を理解した上で解答する選択問題が多い。IELTSのリスニング問題は単語の穴埋め問題など、リスニング力だけでなく英語の知識を問う問題も多いという特徴がある
- TOEFLのリスニング問題は音声を全て聴き終えてから解答するが、IELTSの場合は音声を聞きながら解答する必要があり、それぞれ求められるスキルが異なる
試験時間
試験時間はTOEFLでおよそ3時間、そしてIELTSでは2時間45分となっています。
しかし、IELTSの場合は、スピーキングの待ち時間が発生することもあるので、丸1日取られることも考えておく必要があるでしょう。
いずれにしても長丁場の試験です。集中力を切らさないための工夫が必要ですね。
試験実施日・試験会場
TOEFLは年間50日以上試験を実施しており、日本全国で30都市以上で受験することが可能です。
IELTSは年間で36回試験を実施しており、国内では18都市で受験可能です。そしてスピーキングは別日に設けられているケースもあります。
下記はそれぞれの試験の試験会場をまとめた表です。
TOEFL | 札幌、宮城、秋田、福島、栃木、群馬、埼玉、千葉、神奈川、新潟、山梨、東京、石川、静岡、愛知、三重、京都、大阪、兵庫、奈良、広島、高知、福岡、宮崎、鹿児島、熊本、沖縄 |
IELTS | 札幌、仙台、東京、横浜、川崎、長野、松本、金沢、静岡、名古屋、京都、大阪、神戸、岡山、広島、福岡、熊本 |
受験料
受験料は為替のレートによって変動がありますが、TOEFLの場合はアメリカドルで230ドル、IELTSはペーパー式は25,380円、コンピュータ形式は27,500円となっています。
最近の為替のレートで比較するとTOEFLの方が高額であると言えるでしょう。
しかし、いずれにしても高額であることには変わりありません。留学にかけるコストを抑えるためにも毎回の試験にベストな状態で臨むことがおすすめです。
留学のコストを節約するためのポイントを下記の記事にまとめているので、興味がある方はこちらの記事もご覧ください。
受験料の支払い方法の違い
受験料の支払い方法にも違いがあります。
TOEFLの受験料の支払いはクレジットカードでの支払いのみが認められていますが、IELTSの場合は、クレジットカード、コンビニでの現金払いや郵便局での振り込みも認められています。
スコアの出し方
TOEFLのスコアは120点満点で1点刻みでスコアが算出されます。各セクションで配点は30点です。交換留学や大学留学の場合は80点以上、大学院留学は90点以上、そしてトップレベルの大学やMBA留学の場合は100点以上が入学条件であることが多いです。
それに対してIELTSの場合は0〜9.0までのバンドに分かれて0.5点刻みでスコアが算出されます。交換留学や大学留学の場合は5.5〜6.5、大学院留学の場合は6.5以上、そしてトップレベルの大学やMBA留学の場合は7.0〜7.5以上のOverallスコアが入学条件になっていることが多いです。
結果発表までの日数
TOEFLの場合、リスニングとリーディングのスコアはテスト直後に、総合スコアは受験から6日後にオンラインで確認することが可能です。
IELTS場合は、筆記試験の13日後にオンライン上でスコアを確認することができます。記述試験、対面でのスピーキングテストが理由で、結果発表がTOEFLよりも時間がかかるのかもしれません。
結果の有効期限
試験結果の有効期限はTOEFLもIELTSも2年間です。
TOEFLとIELTSの出題内容・制限時間・試験の流れの比較

下記の表がTOEFL iBTとIELTSの出題内容・制限時間・試験の流れを比較したものです。
TOEFL
セクション | 制限時間 | 出題内容・問題数 |
---|---|---|
リーディング | 54〜72分 | 3〜4つの英文で合計で2,100〜2,800語程度問題数は30〜40問 |
リスニング | 41〜57分 | 会話問題2〜3題と講義問題が4〜6題あり、28〜39問の設問に解答する |
休憩 | 10分 | ― |
スピーキング | 20分 | 1-2問目はスピーキング問題3〜4問目はリーディング+リスニング+スピーキングの総合問題5〜6問目はリスニングとスピーキングの総合問題 |
ライティング | 50分 | 2つの設問があり、1つ目はリーディング+リスニング+ライティングの総合問題(20分で150〜225語)、そして2つ目はライティング問題(30分で300語以上) |
IELTS
セクション | 制限時間 | 出題内容・問題数 |
---|---|---|
ライティング | 60分 | 2題の問題があり、1つは150語以上で、グラフやチャートについて分析解説する問題、もう1つは250語以上で自分の意見について論述する |
リーディング | 60分 | 3つの英文を読み、40題の設問に解答する。(合計で2,150〜2,750語) |
リスニング | 30分 | 4つのパートに分かれて計40問の設問に解答する内容は日常会話からアカデミックなものまで多岐にわたる |
スピーキング | 11〜14分 | 3つの設問がある。自己紹介、自分の意見を述べる問題、そして最後に面接官とディスカッションする問題 |
IELTSとTOEFLはどっちが簡単?

私自身はオーストラリアに大学院留学したからということもありますが、IELTSがおすすめです。IELTSをおすすめする理由は5つあります。
スピーキングテストが対面なので対策しやすい
TOEFLのスピーキングテストはパソコンに向かって話しかけます。15秒で聞いて、45秒で回答するためタイムマネジメントが難しいでしょう。また、TOEFLのスピーキングセクションは、純粋なスピーキング力だけでなく、リーディングやリスニング力も問われる総合問題であるためより難易度が高いといえるでしょう。
それに対して、IELTSは面接官と直接対面で話ができるので、質問が聞き取れなかったり、時間稼ぎをする際に相手に質問を聞き返すことも可能です。より自然な会話ができるので取り組みやすいと思います。
ペーパー試験なので慣れやすいし、受けやすい
TOEFLはパソコンを使用します。そのため、ライティングテストでスピーディーなタイピングが求められたり、パソコン上で読解問題に取り組むなど少しやりづらいのではないかと思います。
それに対して、IELTSはペーパーテストです。私たちは小学校の時からペーパーテストを受け続けているので慣れており、受験しやすいと思います。コンピュータ形式を選ぶことも可能ですので、自信がある方はこちらを選ぶことができるのも利点でしょう。
IELTSの方が試験問題で使用されている単語や熟語のレベルが易しい
IELTSの方がIELTSと比較すると、アカデミックな内容なので、幅広いトピックで奥の専門用語が使用されています。
IELTSの場合は、アカデミックな内容だけでなく、日常会話、新聞、雑誌などより大衆的なものがテーマになっているので単語や熟語の難易度はIELTSの方が低く、取り組みやすいという印象を受けました。
集中しやすい受験環境である
IELTSの試験は一斉にスタートして全員が同時に試験を終了します。それに対して、TOEFLの場合は、準備できた受験者がそれぞれのタイミングで試験を開始するため、受験者全員が試験の進度がバラバラです。
私の場合、リーディングは非常に静かな環境でないと解くことができません。TOEFLを受験した場合、自分がリーディングに取り組んでいる間に、周囲でスピーキング問題に取り組んでいる人もいるわけです。
私のように静かで集中できる受験環境を好む人にはIELTSの方をおすすめします。
スコアの算出方法の違いによって高スコアが出しやすい
IELTSのスコアは切り上げ方式でOverallのスコアを算出しています。つまり、各セクションのスコアが5.0, 5.0, 5.5, 5.5だった場合、Overallのスコアは5.5と切り上げて算出されるため、少し高めのスコアが出る可能性があるということです。
TOEFLのように総合問題がない
上記にもあるようにTOEFLのスピーキングとライティング問題の一部は総合問題で、リーディングやリスニングなど他の英語力も求められます。つまり、スピーキングやライティングセクションであっても、リーディングやリスニングが苦手である場合は高スコアを狙うことが難しいということです。IELTSにはそのような総合問題はありません。
TOEFLが向いている人

下記のような人はTOEFL受験に向いています。
- アメリカやカナダなど北米の大学・大学院に留学する予定である
- パソコンで試験を受けることに抵抗がない
- 英語の4技能全てがバランスよいレベルである
- 学術的で専門的な英文を読むことに抵抗がない
- 単語力に自信がある
- スピーディーなタイピングに自信がある
IELTSが向いている人

下記のような人はIELTS受験に向いています。
- イギリス、オーストラリア、またはニュージーランドに留学する予定である
- ペーパー形式の受験の方が得意である
- 面接タイプの試験に対して緊張しない
- マークシート式の試験に慣れている
- イギリス英語の聞き取りや英文に抵抗がない
まとめ:TOEFLとIELTSはどっちがいい?違いを知って自分に合ったテストを選ぼう!

この記事ではIELTSとTOEFLをさまざまな観点から比較してみました。
世界中のほとんどの大学がTOEFLとIELTSのどちらも入学条件として認めています。私個人としてはIELTS推しではありますが、最終的にはご自身でそれぞれの問題を見比べてみたり、実際に解いてみて判断することをおすすめします!
憧れの大学または大学院に留学できるように試験勉強を頑張ってください!
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